篆刻ブログ

篆刻の作り方や、篆刻の情報を、簡単なことばで説明します。

2015年10月

篆刻のデザインを練る(篆刻の作り方3)

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こんなスケッチをします

篆刻の難しい所は、はじめての人は大抵、彫る作業だと言い、玄人はデザインすることが難しいと言うでしょう。デザインする作業を印稿(いんこう)を練るとか言いますが、特殊な言葉はあまり使わないことにします。
img-kei-jishoそれで、まずは字書で調べた文字を四角(丸でも不定形でもいいけど、作りたい形)に書き込んで、ラフなデザインを考えます。デザインのまとめかたは、その内容ごとに違ってくるので、語るのが難しいです。まずは、実際にデザインしてみましょう。

img-kei-suketch字書から文字を写して、イメージを考えつつ、スケッチを書きます。今回は、1文字なので、四角の中で少し右に寄せてみようか?とか文字の重心を高くしてみようか?とか、縁の太さをどのくらいにしようか?とか考えてみます。

img-kei-inkou そして、本番のデザインはこんなです。原寸大に書きます。僕は白い紙に黒の墨で書きます。直しは修正液を使ってもいいですけど、細かく修正するには毛筆がいいので胡粉(ごふん)という絵の具を使ってます。本当は、黒い紙に赤字で書くのがちゃんとしたやり方です。
彫るときは、このデザインと寸分違わないように彫るのが目標なので、この段階で細部まで本気のデザインをします。 

彫る文字を決める(篆刻の作り方1)

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篆刻(てんこく)をはじめる第一歩は、何を彫るか決めることでしょう。
文字が基本ですが、図柄を彫った古典(紀元前のハンコなど)もあります。
はじめは、画数の少ない1文字を15mm角くらいに彫るのが、ベターでしょうか。使い道としては、10mmくらいだと、手紙に押すとか、一筆箋とか付箋とかにも使いやすいですが、細かい作業になります。
書道に使う人は、まず落款印(らっかんいん、書作品のサインの一部として押す)を作りたいのだと思いますので、落款印の種類を説明します。
その前に、印には文字を彫るものと、文字以外を彫るものの二種類があります。文字を彫って押した時に文字が白くなるのを「白文印」(はくぶんいん)といいます。反対の文字以外を彫って文字が赤くなるものを「朱文印」(しゅぶんいん)といいます。よく「どっちが彫りやすいですかー?」って質問されますが、人それぞれだと思います。でも白文の方が簡単という意見も多いでしょうかね。

落款印の種類
  1. 姓名印(せいめいいん)
  2. 雅号印(がごういん)
  3. 関防印(かんぼういん)・引首印(いんしゅいん)
代表的には、この3種類があります。(他にもいろいろあります)
伝統的な書道としては、一応ルールがあるので、それも踏まえて説明しましょう。

雅号印
img-dohou18mm 書道をする人は、雅号(がごう)を使うことも多いです。ペンネームとか芸名とかと同じです。作品にも、その雅号を彫った印を押します。たいてい文字が赤になる朱文(しゅぶん)ですが、白文(はくぶん)でも構いません。

姓名印
img-kenin-s 書いた人の姓や名を彫った印です。ふつうは白文(文字が白)で彫りますが、そうでなくてもよいです。 例えば「山田太郎」さんの場合、四角の右上から山田(改行)太郎と彫ります。「太郎之印」と彫ることもあります。姓抜きです。結婚しそうな女性は姓なしで作るとよいとかいう話しもあります。ただし、「山田之印」はNGです。なぜかそういう伝統です。あと「山氏太郎」とか「田氏太郎」とか「山太郎印」とか姓を1文字に省略する場合もあります。これは「中国人みたいでクールだぜ!」ってことだと思います。

関防印・引首印
img-seiitu 書作品の右上に押す印で、たいてい縦長長方形です。おめでたい言葉や、作品に趣を添えるような文言を彫ります。姓名印、雅号印とセットで3つ押すスタイルが、伝統的な漢字作品のスタイルですが、今時な作品は、ハンコ1個だったりします。朱文か白文かはこだわりません。2文字か3文字がよく使われますが、4字〜6字とかもあります。 必ず3個(またはそれ以上)セットで押すので、「雅号印+関防印」とか「姓名印+関防印」という2個セットでは使いません。